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施設長のひとりごと

施設長のひとりごと

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高品質に泣かされる

2024-05-14
 もうそろそろ、『布パンツに小さめの尿失禁パッド』を卒業し、紙パンツ、若しくは大き目の尿取りパッドに移行したい方がおられます。この移行する時が難しい(^^; その必要性があり、説得にかかりますが「いいや。私はそんな物は必要ない。漏れないし、漏れたこともない」と大体の方がまずは拒否、いや、拒絶されます。その時は納得されても、翌日はまた布のパンツにお着替えされていたりして・・・。無下に布パンツを回収すると混乱につながるので、本当に時間をかけて説明と説得を繰り返していきます。
 昨日もスタッフが「今、使っている軽失禁用では漏れを防ぐことができず、やっぱり今日もおしっこが漏れててズボンまでしみていました。でもご本人はパッドいっぱいにおしっこが漏れている事に気づいておられなくて・・・」と悩んでいました。今の排泄用品はとにかく性能が良く、漏れない!臭わない!が当たり前です。家で、まだご自分で頑張っている方や介護をされるご家族にとっては、とても助かる高品質です。しかしながら、我々、施設の者からいうと、良すぎて困る(;^_^A その人自身、おしっこがちょび漏れしている事が分からないので、スタッフが声をかけても拒否されてしまいます。なんとかトイレにお連れできても「え!!濡れてる?これ?」と濡れている事実にも、なかなか気づけないのです。濡れているという自覚がないから、当然「紙パンツなんて必要ない」となりますよね。
 「家で家族が介護している用~安心パッド~」
「施設で移行期にある方用~そろそろ履いてみませんか?~」に分かれてたらいいのにね・・・なんて言いながら、なんの慰めにもなりませんが「明日も説得頑張れ!」と励ましておきました(´艸`*)

病気との向き合い方

2024-04-20
 ご利用者の中に、重度のパーキンソン病の方がおられます。まだお若いのですが、体はカチカチにこわばっており、表情もほぼありません。感情のコントロールも上手くいかず、何が原因か、突然「わーーーん」と大声で泣きだされます。かかりつけの専門診療科の先生曰く「入院のレベル」だそうです。
 ある日、ご家族に「入院して、どのような治療を受けられるのですか?」と尋ねてみました。ここまで進行した症状に、どのような治療やリハビリがなされるのか、専門職としての興味もありました。「この先、そう遠くない将来、腕も足も内側に巻き込んだような変形、拘縮が伴い、歩くことはもちろん、口から物を食べる事さえもままならなくなります。進行は仕方のないことで、その時の状態に合わせて生活支援していくそうです」とのご家族の返答でした。
「ん?じゃぁ、入院せんで良くない?」とっさに出た私の気持ちでした(^^; どこで生活しようとも、体の変形、拘縮が進むのなら、ここ(ばんざい)で生活しながらその時々で対応を検討していきませんか?」と、ご家族にご提案しました。
 今日もスタッフに両脇を抱えられ、ご自分の足で歩きながら移動しているFさん。
「わーーーん(ノД`)・゜・。」と泣けば、周りのおばぁちゃま達が手を擦ったり、「泣かんでよかよ」と声をかけてもらっているFさん。そして私は知っている・・・泣いているFさんに「泣かんでよかとよ」と言いながら小さなチョコをポイとお口に入れている主任の姿を・・・( *´艸`) ほとんど言葉を発すことができないFさんですが「泣かんでよかよ」と主任が言えば「はい」と返事されたり、泣いている後ろから主任が近づけば「来た来た・・・」と呟くFさん。
 去年、入院の話が出た時に慌てて入院せず、できる事をできる範囲でお手伝いしながら今に至ります。ご利用者が患う病気と、いかにお付き合いしていくか。これからも、もちろん抱え込みすぎず、♪やれるだけ頑張ってみるよ。つまりは単純に君の事すきなのさぁ♪(セロリより)
























看取っても、なお反省・・・

2024-03-31
 先月から、お看取りの同意を得ていた方を、続けざまに数名お見送りしたある日、私は心身共にクタクタになっていて、久しぶりに口唇ヘルペスができました。悲しみもさておき、他のご利用の対応や、空いたお部屋の新規のご入居者の件で、バタバタとしていたある日。帰りの申し送りで主任がボソッと「あぁ。もっとちゃんと気を張っておかないといけなかった。」と言いました。先日お看取りしたKさんの件です。本当は、巡回の時間ではなかったのですが、なんとなく気になって、最後の排泄介助から15分後くらいに再度、居室へ行った時に最期の呼吸を確認したのです。「十分やってくれたじゃない。もっと言うなら、この17年間いつも寄り添ってくれていたでしょう?むしろ、あそこで気になって巡回していなかったら、次の巡回まで気づいてあげられなかった可能性だってあるのだから、そんなこと言わないで・・・」と声をかけました。
 精一杯看取っても、なお反省・・・。私たちの仕事は、これが最善!これが正解!というものがありません。「本当にこれでよかったのかしら・・・」「もっとこうあるべきではなかったのかしら・・・」そんな日々なのです。
 私は、「最期の瞬間に一人で逝かせたくない。誰かが一人でもその瞬間に傍にいてあげたい」と常々スタッフに言っています。スタッフもそれを理解してくれ、足しげくお部屋に通ってくれています。そうしながら、お看取りに関わり、その方の長い人生の終わりに立ち合わせていただいています。反省ではなく、振り返りとして、次に繋げていきたいと思っています。
 

17年の軌跡

2024-03-24
 私がばんざいを開設したのは平成19年5月です。あれから丸17年が過ぎました。その開設時からご入居いただいていたkさん。気が強くて、お酒が大好きな女性でした。ご入居当初は、Kさんもまだお若く、活気もやる気も満々でした。気の合わない他のご利用者とは、よくケンカもされていて、私と主任で何度仲裁に入ったか分かりません・・・(^^;
ちょうど開設した2ケ月前に長男を出産した私は、毎日、子連れで仕事をしていました。首も座らない息子を、「あ、電話!!Kさん、ちょっと抱っこしてて下さい」なんて言いながら、一緒に過ごしてきました。
 そんなKさんともついにお別れに日がきました。これまでもたくさんの方々と、ここでお別れをしてきましたが、「Kさんとのお別れは、きっとひどく喪失感に苛まれるだろうな・・・」と心の中でいつも思っていましたが、やはり、ばんざいからお身体が出て行く時には涙が止まりませんでした。Kさんのご家族も含め、私にとっては一番最初のお客様であり、家族同然の存在でしたので、家に帰って息子にKさんのご逝去を伝え、家族みんなで手を合わせました。
 Kさん!!17年間、色々な事がありましたね。いつも気持ちが強く、最期までKさんらしかったよ!長い時間、私たちばんざいと共に過ごして下さり、心から感謝します。ありがとうございました。
 

ここよ~

2024-03-20
 お看取りの同意を頂いたご利用者の方が、先日ご逝去されました。血圧が下がって、呼吸が浅くなってきて、「あぁ、今日かな・・。もうすぐかな・・」と、ご家族に連絡を入れる日々。そんな日がしばらく続きました。細く、長く頑張ってくださったFさん。最後の方は呼んでも目が開かず、反応も薄くなっておられました。
 耳だけは最後の最期まで聞こえていると、よく言われます。いつも音楽やテレビをかけたり、足しげく通っては話しかけるスタッフ。反応は薄いけど、何かしらのアクションはやめません。そん中、毎日、毎回、Fさんの部屋に行っては「Fさ~ん。ここよ~。」と瞼を開いて(^^;目を合わせる努力をしていた主任。普段から関りが密で、ご利用者さまとは、だいたいどなたとでも仲良しで、もちろんFさんと大の仲良しでした(認知症でしたので、名前や存在の認識こそありませんが、いつも笑って会話が弾んでいました)
 最期の最期まで、本当に声をかけ続けてくれたスタッフですが、なかなか目は開きません。それでも不思議と、主任とスタッフOさんの声にだけは反応されました。「いつもの人の声だな・・・( *´艸`)」とでも感じて下さっていたのでしょうか。
 主任の「ここよ~」の声が、今でも耳に残って離れません(* ´艸`)クスクス
施設長のひとりごと
ケア付有料老人ホーム ばんざい
〒841-0073
佐賀県鳥栖市江島3388-1
TEL.0942-83-2286
FAX.0942-84-4506
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