施設長のひとりごと
本当の終活
2025-11-12
少し前からご入居いただいているFさん。ご高齢で、マイペース。(このマイペースぶりが何とも可愛らしい)娘様が、いつも優しく寄り添われています。「困ったことや伝えたいことは陣内さんに言うんだよ」という娘様からのアドバイス通り、どれが陣内さんかは分からないご様子ですが、「あんた誰かな?」とスタッフに聞いては、よく陣内を探されています。
先日、用を済ませホームに戻ると「朝からずっとFさんが呼んでおられるそうですよ(* ´艸`)クスクス)と事務のスタッフが報告してきたので、慌ててご本人の元へ伺いました。フロアにおられたFさんに声をかけると、いつも通り「あんた誰かな」と陣内確認をされた上で「あのね、聞いてるよね?」と話が始まりました。(だいたい、いつも聞いていない初耳案件が多いのですが、Fさんは私に伝えたつもりが多いので焦ります(^^;)聞けば、「家に帰りたい」との事。いわゆる帰宅願望ではなく、ちょっと探し物がしたいから連れて帰ってほしい、とのご相談でした。「明日、いいやろ?」と、持ち前の”Fさんペース”に呑まれそうになりながら「私のスケジュールを確認してくるから、少し時間下さい」と一旦退散しました。そして娘様にお電話し、その状況をお伝えしたところ、娘様曰く、Fさんの希望は・・・
①住んでいた家にお礼を言いたい
②ご主人の仏壇に手を合わせたい
③自分が亡くなった時に着る着物を決めているから、それを出しておきたい
だそうです。お話を伺いながら「本当の意味での終活なんだなぁ・・」と心がジンと熱くなりました。こうなると、私の”してあげたい魂”がぶんぶんに揺さぶられます。その場で娘様と日程を調整し、ご本人の希望通り「明日」自宅へお連れすることにしました。
どうなる事やら(;^_^A 次回のひとり言へ続く・・・。
(ちなみに、「明日、行けますよ!」と報告しにお部屋へ行くと「陣内さんが?一人で連れて行くのかい?運転大丈夫かい?」と急に不安になられていました(* ´艸`)クスクス)
私たちが欲しいもの
2025-11-11
先日、主人と買い物に出かけました。私は、最近電池切れしたペンライトが欲しくて、ずっと探していました。ふと見ると、数本のラインナップ。「やっと見つけた!!」と、私はライト本体の大きさや光の強さを確認しながら、どれにしようかしらと迷っていました。すると主人が「なんでそれが欲しいの?」と聞いてきました。ばんざいでは、お看取りまでお世話していますが、いよいよ最期の時が来たら、まず私がスタッフから呼ばれます。駆け付けた私は、状態を確認しながら、すぐに武田先生やご家族にも連絡を入れていきますが、その傍らで呼吸や脈拍の確認と同時に、瞳孔収縮の有無を確認します。その時に、このペンライトを使うわけです。この事を主人に説明すると「お前の欲しいものは実に不思議で、人とは違うね・・・」と笑っていました。
そんな事があった数日後、私は主任と二人で倉庫の大掃除をしていました。「いらないものは全部捨てる事!!何も拾い上げるべからず!!」と強い意志を持って、掃除に勤しんでいました。私の宣言に従い、隣で主任もなんでも捨てては片付けていました。しばらく黙々と掃除をしていた主任が「わぁ!!これだけは捨てない。」と嬉しそうに言うじゃありませんか。「何が出てきたの?」と振り返ると、主任が小さなネジが入った小袋を持って「このネジ、ずっと欲しかったんです!!ヾ(*´∀`*)ノ」と大層喜んでいました。なんでも、ご利用者のお部屋にある床頭台の棚板のネジが所々外れて無くなっていたそうで、それを留めるネジをずっと買おうと思っていたそうです。「そのネジがずっと欲しかったの?」と聞くと「はい。ずっと・・・(^^♪」
私とあなたの欲しいものって、人様から見れば思いもよらない不思議な物なんですね。ちょっと笑えた小話でした(* ´艸`)クスクス
ちょっとした作戦
2025-10-10
ご夫婦で入居されていたTさん夫妻。先日、ご主人が永眠されました。数年前から徐々に認知症が進行していた奥様は、短期記憶(数秒から数十分前のことを忘れてしまう)が著しく乏しくなっており、ご主人のご逝去がどうしても記憶にありません。毎日、毎時間、毎分、毎秒・・・スタッフをつかまえては「Iさんどこ行ったの?」と聞いてこられていました。「ずっとついて回られるし、他者の排泄介助に部屋に行くと、その部屋にも入ってこられます。ご主人の部屋が空っぽになったら、もっともっと不穏になると思います」と主任が相談してきました。ご主人の部屋の場所は覚えておられる為、何度も何度もドアを開けてはご主人を探しておられました。でも、次の方をご入居に案内するためには、その部屋を片付けなければなりません。「部屋のネームプレートを外して、誰か違う人の名前を入れておいたら?」と提案。
すると、すぐさま行動に移すのが主任。「施設長!!成功しましたよ\(^_^)/」と連絡が入りました。”佐藤としお”とかいたネームプレートに入れ替えたところ「あら?」「あれ?」「佐藤としおさん?」戸惑いながらも、奥様はドアを開ける事はなくなりました。そこから怒涛のように部屋をかたずけて鍵をかけ、次の方をご案内するまで、どなたも入れないようにしました。翌日になって、その日勤務していなかったスタッフが「次の方は、佐藤としおさんという男性なんですね!」と。あなたまで騙されてどうするのよ・・・・(-_-;)
そんなこんなのちょっとした策ですが、それでご主人のお部屋を探し回らなくなり、今は、ご主人がここに居ないという事実を少しづつ新しい記憶に刷り込んでいく日々です。
配偶者や、時には子どもさん、兄弟姉妹が自分より先に逝ってしまう寂しさや喪失感は計り知れません。そのぽっかり空いた穴を埋めてあげることもできません。ただただ、時間と共にその悲しさや虚しさにお付き合いしていくだけです。
これぞ、達成感!!
2025-09-14
今年も、待ちに待った?敬老会を無事に終えました。待ちに待っていたのは私たちかもしれません(^^ゞ
今年は二部制にしました。式典を厳か(風)に開催し、滞りなく賀寿の方と最高齢の方を代表でお祝いしました。皆さん、大変感激してくださり、涙される方もおられました。最高齢は97歳のKさん。一度危ない川を渡りそうになったものの、見事に生還してくれたスーパーおばぁちゃん(^^♪ しっかりスピーチまでこなしてくれました。そして、一旦、色々キレイなまま会を閉めました。
続きまして第二部。実は、わたくし事ですが去年から手のしびれがひどく、何も握れないほどの痛みに悩まされており、ギター演奏を控えていました。ところが治療の甲斐あってしびれがすっかり良くなりましたので、ギタークラブの面々と2曲を披露。今年は西田敏行さんを偲んで「もしもピアノが弾けたなら」と皆が口ずさめる「富士の山」。欲張らず2曲。毎晩、夕飯の後片付けを終えて練習した甲斐あって、なんとか音になっていました
そして、メインのダンス。国民のアイドル?サザエさんの登場に、皆さん大喜びでした。両脇には本来1匹のはずの真っ白なタマを2匹携えて、おばちゃんたち、頑張りました。これぞ、達成感( `ー´)ノ
日頃、足腰が痛いスタッフたちですが、なんとかやりきりました。
来年は、何しようかなぁ~。
あみ漬とカステラとLINE交換と
2025-09-03
先日、新しくご入居いただいたTさん。ご家族の手厚い支援を受けながら、頑張って一人暮らしを続けてきた90歳。ちょっとした段差での転倒をきっかけに、圧迫骨折での入院を経て、この度ばんざいにご入居していただく事になりました。
ご年齢的にも、食が細く、入院中も高カロリーのドリンクやゼリーが補食として食事についていました。退院後もやはり、同じく食が細く、高カロリードリンクをつけています。そんなTさんが「アミ漬けが食べたい・・・」と仰ったとか。主任が「アミ漬けが食べたいそうです。娘さんに言って、差し入れてもらってほしい」と言ってきました。早速、娘様に連絡すると「入院中もずっと言ってたんです。でも生物だし、臭いでしょう(;^_^A・・・。いいと言っていただけるなら!!」と早速、翌日からお店を5件回ってやっとゲットできたアミ漬けを差し入れて頂きました。実は私の父もアミ漬けが大好きで、私はどこかに出かけてアミ漬けを見つけると、必ず父にお土産に買っていました。そんな話を娘様にしていたら「陣内さんのお父様がアミ漬けが好きで話が繋がり、すぐにアミ漬けの許可が出て、本当にうれしい!!」とすごく喜んでくださいました。『ばんざいに来れてよかったね、パート1』だそうです(^^ゞ
食の細いTさん。アミ漬けでご飯が入るようになってきました。おかずをあまり召し上がらないので、こっそりご飯の量を増やしたりもしました。それでも、全体の摂取量は少なめなので、大好きなカステラを定期的に差し入れてもらっています。人前で食べることに抵抗のあるTさん。娘様が面会に来られた時は、娘さんが見ているところで召し上がっていただく事にしました。するとパクパクと、あっという間に召し上がられます。食べるって大事ですが、その環境も大事ですよね。『ばんざいに来れてよかったね、パート2』だそうです(^^ゞ
ご入居時から、娘様とはLINE交換させて頂き、生活のご様子をお知らせしたりご面会時に一緒に写真を撮ったりしています。LINEはご家族と窓口の私を繋ぐ大切なライフラインです。これからも「よかった探し」していただけるよう、頑張ります\(^_^)/


